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バイオ

バイオビジネスとは、バイオテクノロジーを用いた産業のことで、このバイオテクノロジーには、組み換えDNA技術、細胞融合技術、細胞培養技術などのいわゆるモダンバイオテクノロジーと従来型の発酵・醸造技術、交配技術などのオールドバイオテクノロジーがあるらしい。
バイオテクノロジーは、医療、環境、化学・発酵、農業・食品のほか、情報、電子・機械の分野での応用が可能といわれており、それゆえに次代の産業として大きな期待が寄せられていて1998年の「21世紀のバイオ産業立国懇談会報告書」では、98年当時、関連市場約1兆円、雇用規模約3万人のバイオビジネスが、2010年には、それぞれ約10兆円、約15万人まで成長するとしており、市場規模については、約25兆円まで成長する潜在的可能性があると見込まれているそうだ。
このオールドバイオテクノロジーの分野で今、白神山地が注目されている。白神山地は日本で始めて世界遺産に登録された事で有名な秋田県と青森県にまたがっているブナの原生林である。
地質調査の結果、約8000年前には既にブナ林が形成されていたことが分かっており、約10000年前に最終氷河期が終わるとすぐにブナ林ができたと考えられる。その後、全く耕作されずに山地のままであった。これは、ブナに使い道がなかったことが大きく作用しているそうであるが、今にしてみるとそれが宝の山になりうる可能性を持っている。

秋田県は古くから酵母の研究が盛んで、日本の酒造メーカーの8割に酵母を提供している会社がある。酵母研究の下地があると言う事だが、白神山地の厳しい環境で何千年もの間、他の微生物と競合し生き残ってきた微生物が、何兆種類も存在すると言われている。その中に人間の生活を大きく変える、可能性のある有用微生物が存在してないかと日々研究されている。
そして何種類かが発見されている。
微生物の世界は未だ未知の世界で、その中には不治の病を克服する夢の新薬につながる物も発見されるかもしれない。
長きにわたって、マタギに山の幸をもたらして来た原生林が今、現代の人々に新たな恵みをもたらそうとしているのかも知れない。夢のある話だ。