· 

夜空のむこう

田舎で夜空を見上げると星の数に感動する。古代人はもっとたくさんの星空を見上げていたに違いない。その感動は更に大きなものだろう。夏の夜明け前、オリオン座が昇ってきて東の方が白み始めた頃、全天で最も明るいシリウスが現れる。古代エジプトでは、シリウスと太陽が同じ頃に登る時期にナイル川が増水を始めるらしい。川は肥沃な土砂を運んでくるから、オリオン座やシリウスは作物の実りを約束するものだ。そのシリウスは昔赤い星であったという記録が、エジプト・ギリシャ・ローマに残っている。今は青白い星で、シリウスBという星を伴っている。このBが赤い星の抜け殻かもしれない(天文学の常識を破るが)。だとすると昔は、非常に明るい赤色巨星を見ていた事になる。太陽と共にシリウスが上がる夏至前の夜明け前は、想像以上に神々しいものだったのかも知れない。私も仮説は認めていないが、問題提起の話題としての面白さはあると思う。神秘家ぶりが現れて・・・これも愛敬である。